ここ最近、Excel方眼紙界隈(?)がざわついています。
たぶん最近の議論は2017年9月にグレープシティ社が実施した「Excel方眼紙公開討論会」あたりから議論が再燃してきたのではないかと思います。
私は国内の中堅SIerに勤めておりまして、大規模プロジェクトの末端にいたり、中小規模のプロジェクトでは中心にいたりと、その時々によりマネージャだったりエンジニアだったり立場が変わります。
そんな私から見たExcel方眼紙についての考えをここに表明したいと思います。
Excel方眼紙と私
まずは私が業務でExcel方眼紙を使っているか、またExcel方眼紙を使うことに対してどのように考えているかを表明します。
Excel方眼紙を使っているの?
Yes!バッチシ使っていますよ!流石に文章が主体のドキュメントはWordを使いますが、それ以外はExcelで作ることも割とあります。方眼紙です。
なぜ邪悪な信仰であると騒がれているものを使うのよ?
一番の理由はみんな使っているからですね。Wordの使い方も一通り理解していますし、Excelの印刷するとズレるあの現象についても認識しています。ただ業務環境では圧倒的にExcel方眼紙で作られている資料が多いので、私もExcel方眼紙を使っています。そしてExcel方眼紙で作られている文書をWordで作ったとしても、作成にしろ管理にしろ大差が無いと思っているので、お客さんのオーダーや他のプロジェクト文書を見ながら何で作るかを判断しています。
Excel方眼紙を使うことに対する考え
私の考えと同じことを既にまとめている方がいましたので、勝手に紹介します。
教えてほしい。Excel方眼紙って何がそんなに悪いの? ホントのちゃんとした理由教えて。納得させてくれよ~ | Gabekore Garage
本当に同じ考えが書いてあって驚きました。私はExcel方眼紙については、中道肯定派です。煽っているわけではないんですが、私の使用用途から考えると、正直言って何が悪いのか理解できないんですよね。納得できるExcel方眼紙否定の理由が見つかりません。印刷がずれる?目次番号が繰り下がらない?確かに不便ですが、慣れました。
議論のポイント
世の中、Excel方眼紙狩りの如く、糾弾されていますが1つ忘れてはいけない議論のポイントがあると思います。それは、この議題が0か1の話ではないということです。私はそう思っています。中道肯定派の私はここが重要だと思うのですが、世の議論からはこの観点が抜け落ちてExcel方眼紙は邪悪なる存在、駆逐すべき現代のデジタルゴミという扱いを受けているのが、やっぱりわからないです。
世の中の全てのExcel方眼紙が要らない子なの?
そうじゃないと思います。
ネ申Excel(1文字1マス)は駆逐していいと思います。あれは誰かリテラシの低い人が思いついたアイディアです。無視してOK。それを使いまわしていた組織はそもそも思考停止している人達なので、「ネ申Excelは禁止。こうしなさい。」と教えてあげればそれで済みます。それで終わり。
個別に考えてみる
ネ申Excel以外の方眼紙について個別に考えてみましょう。
Web上のExcel方眼紙に物申す系エントリはこの観点がゴチャ混ぜになっていないでしょうか。
「全てのExcel方眼紙は社会にとって害悪である。よりよい社会とするために私たちは”正義”の二文字を掲げExcel方眼紙を駆逐するために全力を上げる」
という考えが正しいとは思えないんですよ。モノによってはExcel方眼紙でもいいんじゃないのかなぁと思っています。例えば、お客さんに「うちの社員ってみんなExcelが好きでさ、Wordが全然なんだよね。納品物のドキュメントはExcelで作ってくれない?」って言われた時に、文書をExcelで作ることは正しくない、と主張するでしょうか?自分達側の文書作成のコストが著しく変わるなら「いやいやいや」となりますけど、お客さんは分かって言っているわけなので、自分の中の正解を押し付けることはやっぱり違うと思うんですよ。
というわけで実際に個別に考えてみましょう。私が思いつく方眼紙で作成されうるExcelファイルは主に①データシート型、②帳票型、③設計書型の3パターンだと思います。これらについて個別に考えをまとめます。
①データシート型
データシート型は純粋にデータを表形式で扱う使い方を指します。これは方眼紙にすると、表の連結を使ったり、見た目とデータセルが異なる場合が出てくるのでNGパターンだと考えています。2次利用や目的の形への加工に手間がかかるので、これはダメパターンでいいと思います。
②帳票型
これは使い方次第で善にも悪にもなるピュアな存在だと思います。印刷もしくはタイプインして入力された帳票をどう使うかの問題に収束するタイプです。
裏にシステムがいて帳票を取り込んでいく仕組みがあるならば、集計の仕組みまでを考慮する必要があると思います。そしてその時、Excel方眼紙がツールとして適していないということには同意です。
しかし世の中の帳票が全て集計されるわけではありません。例えば監査目的で申請書を保管するといった用途ですね。手書きでもPC入力でも可、最終的には全てPDF化して保存しておくだけのようなものは、データを吸い上げないのでExcel方眼紙で作られていてもいいと思います。データを吸い上げないことがわかっているので、入力項目の増減による帳票レイアウトはそれこそユーザが困らない範囲で毎回変えてもいいわけです。必要な事が書いてあってそれで問題が発生しないならExcel方眼紙でもいいのではないかと。
③設計書型
私にとって一番身近な存在です。これはExcel方眼紙で”作ってもいい”と思っています。特に文章と表が入り混じった文書ですね。文章が大半を占めるならWordで作るべきだと思います。アプリケーションの正しい使い方を意識するならば、全ての文書はWordをベースに作って表組を入れるか、Excelオブジェクト(でしたっけ?)としてWordファイルに埋め込む、もしくは複雑な表は別ファイルとしてExcelで作るということになると思います。確かに見た目は綺麗だと思います。でも運用しているとWord文書の中の表って段々使いづらくなってきますし、別ファイルに大きい表をExcelで作ると修正漏れが発生しやすくなる。だったら最初からExcelで作っておけばいいじゃないかと思ってしまうんですよね。
まとめ
今回のエントリは私が登録している某メールマガジン上でExcel方眼紙は悪だと書かれていたことに端を発し、Web上の反応を見ているとExcel方眼紙を糾弾している人が多くいらっしゃったため、自分の考えを整理してみました。
たぶん世の中のExcel方眼紙論争は対立している人たちの間で、共通のExcel方眼紙を見ていないことが原因の一つになっているのだと思います。ある人は文章だけの資料がExcel方眼紙で作成されていることに疑問を感じ、またある人はデータ抽出をしないExcel方眼紙を使っていて「何が悪い。レイアウトが簡単なんだからいーじゃねーか」と感じている。そういうギャップが少なからず存在するのではないかと思います。
私は全てにおいてExcel方眼紙が悪だとは思いません。生産性の観点からもデータとして抽出しない場合に限り、私はExcel方眼紙で運用されている仕組みがあってもいいと思います。
おわり