ホンモノのエンジニアになりたい

ITやビジネス、テクノロジーの話を中心とした雑記ブログです。

【御提案】TOEICの解答用紙A面を何とかしていただきたく。

それって必要ですか?

 

先日、TOEICを受験してきました。ここ一年、何度か受験したんですが、毎回受けるたびに「解答用紙のA面何とかしてくんないかなぁ」と思ってきたので、このエントリに書きなぐっていきたいと思います。

 

Let's get started!

 

 

ご提案させていただきたいこと。

まずは本提案のまとめからご説明いたします。私が提案したいことは唯一つ。

 

解答用紙A面を廃止しませんか?

本提案のポイント

  • 解答用紙A面を廃止
  • 解答用紙の取違いを防止するため新たにチェックコードを導入
  • ユーザエクスペリエンスの向上
  • アンケートをより効果的なものへ
  • ディスラプターの出現に備えて

 

Q&A

Q. 廃止しても問題ないのだろうか?
A. 受験番号の他にチェックコードを設ければ現状と同様のサービスレベルが維持できます。(当方調べ)

 

Q. アンケートが取れなくなってしまうだよ
A. 申し込み時にWeb上でアンケートとりましょう。前の質問の回答によって次の質問を変えたり、ユーザに記述してもらうことも出来るので質が上がりますよ。

 

Q. 絶対に大丈夫なの?100パー?責任取れんの?
A. システムなので100パーはあり得ませんし、責任も一切とりません。自己責任でお願いいたします。

 

Q. 冷やかしはやめて欲しいだよ
A. 本気の提案です。いつまでもビジネス英語界の王様でいられると思っちゃいけませんよ。

 

A面を無くした方が良いと思う理由

無くても大丈夫でしょ?

ぶっちゃけ、A面のマークはとても面倒くさいのであります。今風な表現をすると、ユーザエクスペリエンスが大変よろしくない状況だと感じます。細かい話は次の項で考察していきますが、もう少し工夫すれば解答用紙に氏名やら性別やら生年月日やらをマークする必要性は無くなると思うのです。「これホントに必要なんかなぁ」と思いながらマークしてくってのが苦痛で・・・どげんかしていただきたい。

 

初見殺し

初めてTOEICを受験する人は、いざ会場に到着してみたら、なんか細かいことが書いてある『受験のしおり』を見て焦ってしまうんじゃないでしょうか。今年、私は数年ぶりにTOEICを受けたんですが、正直ちょっと焦りました。

実際にA面にマークする数ってのはだいたい50個くらいです。一回でも受けたことがあれば、「普通に埋めていきゃ余裕で間に合う」ということが分かりますが、初受験の方はそうはいかないと思います。

初めての受験者は説明書きを全て読んでA面を埋めなければなりません。読まなければいけないところと読まなくてもいいところの差が分からないので結局全部を読まないといけないんですよ。しかもA面のマークミスってのは下手すると採点されないパターンすらあるわけで、『慎重に』受験のしおりを読みこまなければなりません。

また初受験の方は試験前の30分間で何が行われるのかわからない、A面を埋めるための時間が十分に用意されているかわからない、そんな状況の中でマークしていかなければならないわけです。更に「あれ?マークする時間とってくれてんのかな?」と不安な気持ちでいる間に音質テストが始まったりするわけです。初受験の方の大半は、音質テストより目の前のA面を埋めることを優先してしまうのではないでしょうか。

受験者に全力を発揮してもらうためにも、A面は廃止した方がいいと思います。(早く行けば済む話ではありますが)

  

A面を無くして困ることがあるのだろうか。一人考察大会。

A面に存在する情報の整理

TOEIC公式サイトには日本語の解答用紙サンプルは公開されていませんでした。英語版・中国語版・韓国語版の『受験のしおり』は公式サイトにPDFリンクがありますので見たことない方は雰囲気だけでも味わってみてください。

テスト当日のご案内|TOEIC Listening & Reading Test|【公式】TOEIC Program|IIBC

 

『受験のしおり』から解答用紙A面に記載する必要がある内容を抜粋します。

  • 手書き氏名&フリガナ
  • 受験番号記入&マーク
  • 性別マーク
  • 生年月日記入&マーク
  • 氏名記入&マーク
  • 団体コード記入&マーク
  • アンケート1:学校&学歴マーク
  • アンケート2:専攻科目マーク
  • アンケート3:職業・職歴マーク
  • アンケート4:英語学習経験マーク
  • アンケート5:受験経験マーク

 

これらの情報を記入・マークしていかなければなりません。私は今回のテストで気づいたんですが、アンケートの回答は実は必須ではありませんでした。『受験のしおり』にはこう書いてあります。

今後のサービス向上のために7~11への回答にご理解・ご協力をお願い申し上げます。

実際のところ「アンケート回答する体力すら節約したい。今日は絶対に負けられない戦いなのだ」という方はすっ飛ばしても問題ないでしょう。

 

氏名・性別・生年月日マークの必要性

解答用紙A面には漢字氏名の書き込みと、ローマ字の記入&マーク欄、他には性別や生年月日のマーク欄があります。正直、ローマ字、性別、生年月日はマークさせなければならない情報だとは思えません。全て申し込み時に入力している情報で受験番号に紐づいています。結局は受験票の番号だけで情報を辿っていけるので、受験者にこれらの情報をマークさせるシステム上の必然性はないと考えられます。

 

考慮すべきはマークミスによる受験番号の重複

システム的には受験番号だけで受験生を特定できますが、それだけだと試験運用はうまく回りません。受験番号を間違えてマークしてしまう人がいるからですね。同じ受験番号がマークされた解答用紙が複数存在してしまうことがありえます。間違えた人が採点されないのはいいですが、本来の受験番号の人が採点されないのはマズイ。これはどげんかせんといかん。

対策は受験番号とは別にチェックコードを設けることでこの問題を回避できると考えます。仮に受験者の1,000人に1人が受験番号をミスマークするとしましょう。その対策としてランダム5桁のチェックコードを設ける場合を考えます。5桁の数字だと、0~99,999の10万通りのパターンが存在するため、このような計算になります。

受験番号のミスマークが発生する確率:

 1÷1,000 = 0.001 = 0.1%

チェックコードが重複する確率:

 1÷100,000 = 0.00001 = 0.001%

受験番号とチェックコードが重複する確率:

 0.001 × 0.00001 = 0.00000001 = 0.000001%

 

つまり1億回に1回だけ重複した解答用紙が存在する割合になります。一度の試験で約10万人がTOEICを受験するため、試験を1,000回行って1回解答用紙の重複が発生します。TOEICは年10回開催されるため、100年運用して平均1件の割合となります。

現状でも人的ミスや機械トラブルなんかは稀に起こるでしょうから、この程度だったら十分許容できる割合ではないでしょうか。

 

最終確認手段として手書き氏名は残す。

別にチェックコードなんてものを使わなくても手書きの氏名があるから、最終的にはそこから受験者を特定できんじゃないの?という考えも湧いてきました。

しかし、TOEICは毎回10万人が受験するテストです。10万枚の解答用紙が集まります。前節では1,000人に一人が受験番号をミスマークすると仮定しましたが、10万人が受けると100人がミスする計算になります。間違えた解答用紙と間違われた解答用紙が存在するため、目視でチェックする場合は10万枚の解答用紙から200枚を探して手書き氏名をチェックしなければなりません。

もしマークの読取に加えて解答用紙をスキャンしてPDFなり画像なりで保存しているならば、ミスマークがある解答用紙を探すことは困難ではないでしょう。現状は何だかんだ氏名や生年月日や性別をマークするので、解答用紙の現物を探したり、スキャンした画像を目視で見るなんてことはしていないと推測されます。

じゃあなぜ手書きの署名をいれなければならないのか。おそらくこれは保険の保険の保険か、テスト会場での何らかのトラブルを想定してのものだと思います。たとえばクレイジーな人が「俺が400点なわけがない。正しく採点されてない。契約不履行だ。訴える。」という話になったときの筆跡鑑定で使うとか、何らかのトラブルで「受験番号はわからないけど鈴木一郎さんの解答用紙を探さないといけない」という事態が起こったときのことを想定しているのでしょう。

手書き氏名は受験者の負担になるものでもないので、B面にそのまま残しておくのがいいと思います。

 

本人確認と不正対策という位置づけではどうだろうか?

TOEIC運営者が最も恐れているのは替え玉受験などの不正が起こることでしょう。どうもエゲレスでは組織的な不正行為が行われたとして、ビザの申請などにTOEICを使うのやめましょうという話になったそうです。

国際コミュニケーション英語能力テスト - Wikipedia

 

今回のA面廃止提案によって本人確認や不正対策の強度が落ちるかという点も考える必要があるでしょう。

本人確認の強度はA面を廃止しても全く影響はないと考えられます。入室時とテスト開始前に身分証を使っての本人確認がありますので、「身分証が偽造されていなければ」間違いなく本人であることを確認できています。

その他不正対策はどうだろうか。考え得る不正は替え玉の類でしょうか。同じ教室で受験しているAさんとB君が共謀し、それぞれ自分の身分証で入室、解答用紙への記入だけ逆にするパターン。ただこれは解答用紙回収時に座席の受験番号と解答用紙の受験番号が一致していることを確認できれば防ぐことが可能です。このパターンは現行テストでも起こりうるので対策済みでしょう。

 

私が考える限り、A面を廃止しても本人確認や不正対策が疎かになるケースは考えられませんでした。

 

 

解答用紙の毀損対策としてA面は機能しているか

たとえば採点する人が現状のA面の受験番号欄にうっかり珈琲をこぼしてしまったり、回収した解答用紙の間に消しカスがくっついていて、それが運搬時にこすれて受験番号が消えてしまうといったケースです。原因は様々でしょうけど、毎回10万人も受験していれば1件や2件そういったケースもあることでしょう。これは現行の方式であれば、氏名マークなどの情報を使って、どの解答用紙が誰のものか追いかけることができます。

しかし、この毀損のケースを考えていくと、「現状のB面が毀損したらどうするんだ、正確に採点されないじゃないか」という話にもなります。A面だけ毀損対策がなされているとは考えづらいです。TOEICがここまで信頼を勝ち得ているのは、他に有力なテストが無いからってのもありますが、やっぱりキチンと能力を測れるってところにあると思います。A面は守るけどB面は守らないってことになると、それは自らのストロングポイントを捨てていることになります。

それに「受験番号欄が毀損しても受験者を特定できる可能性がある」というのは非常に限定的な状況でしか機能しないものになります。そんな限定的な状況下でしか機能しないもののために、氏名やら生年月日やらをマークさせているとは思えないです。ゆえに解答用紙毀損への対策ではないと考えるのが妥当であり、A面廃止提案とは無関係のところにある話だとします。 

 

アンケートはどうなる?

冒頭でA面を「無くても大丈夫でしょ」とは言ったものの、「いやいや、アンケート欄があるでしょうに」という反対意見も聞こえてきそうです。アンケートは申し込み時に入力する形にすればいいと思うんです。アンケートには最終学歴や英語学習期間を回答するものがあるので、申し込み時と受験時で回答が変わる項目も存在します。でも、それだって申し込み時に「受験日時点の情報を記載ください」と書けばそれなりの精度で情報を集められると思うんです。これ読んでくれている方で「申し込み時と受験時で重要視する英語能力が変わった」という方どれくらいいらっしゃるんですかね。あまりいないと思います。

TOEICの申し込みは最速でテストの3か月前から始まります。確かに3ヶ月あれば自身の英語学習についての回答が変わる可能性を否定できませんけど、やっぱりそんな大層な変化があるとも思えません。また申し込み時の回答はそれ自体意味を持つモノでもあります。それはそれで有効に使えるものだとも思うのです。 

 

A面廃止すると、こんな良い事があるよ

ここではA面を廃止して申し込み時の入力、特にWeb申し込みに全てを切り替えたとして考えていきましょう。マークシート上の回答と比較して、Web申し込みに変えるとこんな恩恵を得ることができます。

  • アンケートの回答によって以降の質問内容を変えることが出来る
  • 受験者によって質問内容を変えることが出来る
  • アンケート項目の変更が容易
  • A面廃止にすれば問題用紙の印刷代が安くなる&エコ
  • ミスマークによって採点されない受験者が少なくなる

運営側の大きな利点は1~3つ目ではないでしょうか。既に回答した内容によって、次の質問を変えていくことができます。また記述式の回答を求めることも容易になりますし、アンケートの質問内容を試験回によって変えることも簡単。「データは現代の石油」と言われる時代ですから、より受験者のニーズを汲み取る試みを実施していくことができます。

4つ目はA面廃止によって解答用紙が片面だけになりますから、解答用紙を印刷するコストを減らすことができるはずです。片面だけとなるので、マークの裏写りがあっても問題ありません。解答用紙の紙質をもっとチープなものに変更できるはずです。

TOEICはだいたい年間で120万人が受けているそうです。予備の解答用紙も用意しておかないといけないし、注文時のロットもあるでしょうから、年間で120万枚以上は間違いなく印刷しているでしょう。また機械的な読取に耐えうる精度で印刷する必要があるので、そこそこなコストになっているのではないでしょうか。それに使用するインクだったり、印刷および読取時の使用電力量も減るわけです。地球環境にやさしい大変エコな取り組みとなるでしょう。いま世界で大流行しているとか、していないとか言われるESG、SDGというやつへの取り組みにも繋がるものになるでしょう。

最後の5つ目。我々受験者にとっても恩恵があります。受験番号とチェックコードの記入&マーク、手書き氏名程度に記入内容を抑えていけば、ミスマークや塗忘れはかなり減っていくだろうと思います。現状、ミスマークしたらどうなるのかは知りませんが、塗る箇所が減れば説明書きもシンプルになり、ミスマークも減ります。受験者にとってもハッピーだし、ミスマークで採点されない人がいるってのは運営側からしても避けたいことだと思うので良いことづくめです。

 

おまけの提案

冒頭で「主張したいことは唯一つ」とか書きましたが、書いてるうちにオマケで提案したいことを思いつきました。

その1:電子受験票を導入いただきたい。

『電子受験票』の導入。受験用の写真撮るのすごく面倒くさいんです。私の家の付近では証明写真を取る機械が減ってきています。

ほら電子受験票にすれば、受験者は写真を現像しなくてもよくなるじゃないですか。スマホで撮った写真でも今どきのスマホなら画質は問題ないですし。加工系のアプリを使おうとする人もいるかもしれないですが、任意に撮影した写真をアップロードするのではなくて、TOEICアプリの中のカメラを使わないといけない作りにすれば問題ないように思えます。「3か月以内に撮った写真」なんて規約を無くすこともできます。有効な写真か否かの判定は今どきの画像解析技術を使えば、そんなに難しいことのようにも思えません。試験会場までの地図だって、アプリからダイレクトに開かせることができるし、アプリで完結するとなると、ログインアカウントの管理から解放されて超ハッピーという話になります。

運営側からしたって、受験票の郵送費用が削れるのでハッピーなはずです。もちろん電子化することで余計に費用がかかる部分も出てくると思います。アプリの開発が必要ですからね。しかし長い目で見れば、毎回必ずやる受験票の郵送がなくなるってのは、メリットの方が圧倒的に大きいはずです。

 

その2:電子スコア表にしよう。

そしてもうひとつ。スコア表も基本デジタル化して郵送を止めてしまえばいい。いま毎回10万人ほどがテストを受けているわけですが、全員が紙のスコア表を必要としているわけではないでしょう。実力試しにとりあえず受けてみたとか、英語学習の必要性を忘れないように定期的に受けているだけの人なんかも多いはずです。ある程度のスコアが無ければ紙のスコア表をもらう意味が無いというケースだってあります。たとえば転職のために700点を取りたいと思っている人がテストを受けて500点しか取れなかったとしましょう。その人が転職活動のなかで500点のスコア表を使うかと言ったらちょっとそれは怪しいもんです。

だからスコアをWebやアプリからオンラインで確認した後で、スコア表の発行を任意で依頼するという形にすることがベストだと思われます。運営側にしたって、認定証を印刷するコストや封筒詰めする作業コスト、郵送コストを削ることができます。「僕たちは地球環境を大事にしてます!」というメッセージを発することも可能です。

 

さらに突っ込んで考えていくと、そもそも公式スコア表は全てデジタル化してしまえばいいと考えます。デジタルのスコア表の場合は『改竄』というリスクが出てきますが、こんなのはシステムの作りこみ次第で対策がとれます。パッと思いついた形を書いてみますね。たとえば私がTOEICを受けたとします。で、私はどっかの企業にそのスコアを提出して「〇点取りました」という事実を証明しないといけないと。私がアプリやWeb上で「ふっかつのじゅもんを生成する」的なボタンを押して、生成された「ふっかつのじゅもん」を企業サイドに伝える。企業側はTOEIC公式サイトにアクセスして、「ふっかつのじゅもん」を入力すると、受験者のスコア表を閲覧できる。こんな形で十分だと思うのです。さらに認定証をファイルで出力して、ハッシュ値を一緒に公開すれば改竄の有無を確認することも可能です。現在認定証の紙コピーを使ってスコアを把握している企業にとっては、より不正の入る余地のない環境、より管理の楽な環境を手にすることができます。みんなハッピーです。

 

 

TOEICは2020年4月から受験料を値上げするそうです。

TOEIC Listening & Reading公開テスト受験料改定のお知らせ|インフォメーション|IIBC

現行で¥5,830の受験料が、¥6,490になります。率にして11%超のわりと強気の値上げです。対応しなければならない問題なんかも色々あるんでしょうけど、個人的には電子化を進めてコストを抑制し、受験料に跳ね返らないようにしてほしかったです。

 

 

技術発展の恩恵をフル享受したい 

このセクションでは自称そこそこイカしたエンジニアである私が、エンジニアの立場でOpinionをWritingするSectionとします。自己満足です。(上の方で書いている文章も自己満のためですけど、それ以上に。)

 

ぶっちゃけ競争原理働いてないですよね

英語能力テストっていくつかありますけど、だいたい市場のなかでの住み分けが済んじゃってる感じがあります。 

  • 英検ー国内のアカデミック分野で幅を利かせているイメージ。大学入学のために使われることが多い。
  • TOEICービジネス界隈の英語能力測定に使われるイメージ。社会人が受けるテスト。
  • TOEFLとIELTSー留学希望者が使うテスト。

 

このなかでTOEICは唯一のビジネスパーソン向けのテストになっています。世界を見れば他にもあるのかもしれませんが、国内ではやっぱりTOEICになりますね。別にTOEICのテスト自体に不満があるわけではないんですが、このTOEIC一強状態というのは利用者の立場から見て、あまり好ましい状態ではありません。10年前と比較して技術の進展によって便利になったと思う点も少ないし、価格競争が起きているわけでもないです。

マークシートを使った回答方式ってのは昔からありますけど、これに代わる有力な技術というのは今のところないと思います。10万人が同時にテストを受けるわけですから、Webやアプリという技術領域で不正なく滞り無く試験を実施するのは現状かなり難しい。これは仕方ないことだと思います。

ただ前項までで述べたように申し込みから結果発表までをアプリで出来るようにするなど、テスト以外の部分は技術発展を進められるところです。現在TOEIC公式のアプリはありますけど、申し込みやスコア確認はWebサイトに行かないとみれない状態です。やっぱりアプリの中で完結してほしい。

こういうのが進まないのは、やっぱり強力な競争相手がいないからだと思うのです。今は競争相手がいないわけですけど、それが未来永劫続くと思っていると(或いは続かないと思っていてもアクションを起こさなければ)いきなりゲームチェンジとなる可能性があるのが現代ビジネスです。

 

足元すくわれちゃいますよ

(ここから一気に話が飛躍します。ご注意下さい。)

さて、現状強力な競争相手がいないと書いたものの、これからどうなるか。後発の”英語能力認定試験”で、これからTOEICの地位を脅かす存在が出てくるってのは正直考えづらいです。じゃあ結局、一強状態が続くのか?私はそうは思いません。

 

私が最も期待しているのは、Facebook。彼らはこんなミッションを掲げています。

2004年に設立されたFacebookは、誰もが安心して情報を共有できる、オープンでつながりのある世界を実現したいと考えています。人々はFacebookを使って、友達や家族と常につながり、世界で何が起きているか発見したり、自分に関連することをシェアしたり表現したりすることができます。https://about.fb.com/ja/company-info/

 

Facebookは「ユーザ同士が繋がって情報を共有し、世界で起こっていることを発見してほしい」、そういうことをミッションにしています。ここでは人種や言葉の違いってのは取っ払って何とかしたい壁と考えられているのではないでしょうか。もし彼らがこの壁を本気で壊そうと考えたら、どんなことをやってくるか。

それはもしかしたら自動翻訳という形かもしれないし、もしかしたら自然と英語を身につけられる仕組みかもしれないし、もしかしたらアカデミック寄りの発想なのかもしれません。いずれにしても「Facebook使って英語出来るようになった。外国人の友達いっぱいいるよ。近況報告もメッセンジャーも全部Facebookで出来て超便利。」という世界にしたいはずです。

彼らにとってそういう繋がりの数っていうのは収益に跳ね返ってくる要素です。半径10mの世界をオンラインに持ち込むだけではなく、Facebookを通して個人の世界を拡張する方向に持っていきたいと考えているはず。彼らにとって世界中のユーザが共通言語でコミュニケーション取れるってのは理想的なビジネス環境になります。

それに語学系のビジネスってのは一定の需要が見込めて、しかもなかなかカネになる領域でもあります。集客力もあります。「Facebook使っていると自然と英語ができるようになる」こんな状況になったら、みんなFacebookを使い倒す世の中になることでしょう。私はそのうち仕掛けてくるんじゃないかと思っています。

 

イノベーション

別にFacebookからじゃなくても英語能力を高めて、それを数値化するすごい手段が生まれる可能性ってのも十分あります。現在の英語能力のテストってのはとてもクローズドなものになっています。それによって一定の質が担保されているという側面はあるでしょう。しかし技術やネットの世界はオープンな方向に進んでいます。

たとえば誰か知らない人とビデオコールで世間話をして、ネイティブがその能力にスコアをつけるような、そんなネットの特性を生かしたイノベーションが起こることは十分ありえます。現代の技術の方向性を考えると、会話の裏でAIが勝手に採点してくれるような仕組みのほうが現実的かもしれません。AIと会話して評価するものかもしれません。いづれにせよ、これらが起こらない方にベットする方が今の時代はリスクがあると思います。

ネットやAI技術を駆使してオープンで多くの人が参加するスコアシステム、そんなものが生まれた時に既存のテスト事業者が太刀打ちできるか。かなり難しいと思います。テスト事業者は受験者から受験料を取って、そのお金で質の高い試験を作るわけですね。しかし現代的なビジネスの方向性を考えると、利用者が会話内容や語学力という個人情報を差し出すことでその仕組みが動作する形になるでしょう。これ一度始まったら、あっという間に一定の信頼度を獲得することになると思います。

有料で一定の質が担保されたスコア、無料でドンドン精度が高まっていくスコア、最終的にどうなるかは言葉にする必要もないでしょう。

 

だからこそ、少しずつでも無駄を排除して、ユーザの信頼を勝ち取っていかないといけないわけです。もしTOEIC事業者がリスニング問題を音声合成技術で作っているなんて話だったら、私は「調子こいたこと言ってすいませんでした」と土下座して謝罪させていただきます。AIに問題を作らせるとか、合成音声を使うとか、マークシートの次の採点技術の開発を進めるとか、いつでもどこでも公平に公開テストを受けられる仕組みを考えるとか、そういうことを続けていかねばならないと思うのであります。

しかし、どうも資格ビジネス界隈は技術発展についていけていないように見えてしまいます。Cert-Techと言ったらいいですかね。資格ビジネスとテクノロジーの融合、これそのうち流行ると思います。

世の私企業はライバル相手に必死に戦いながら、ディスラプターの出現に備え(怯え)、日々サービスをより良いものにしようと小さな改善を積み重ねています。TOEIC試験もそうであってほしいと切に願います。