ホンモノのエンジニアになりたい

ITやビジネス、テクノロジーの話を中心とした雑記ブログです。

SIerの上司ガチャ、配属ガチャを愚考する

gacha

IT業界の、というより私が知る限りのSIerにおける上司ガチャ、配属ガチャについて若人諸君に向けて私の愚考を説いていきたいと思います。

  

 

上司ガチャ・配属ガチャに思う事

私が新卒でSIerに入社した頃はスマホの普及期だったので、まだ上司ガチャ、配属ガチャという言葉は存在しませんでした。ただそういう言葉はなかったものの、現代で言われるところの上司ガチャ、配属ガチャ問題はありました。当時は言葉がなかっただけです。

 

たぶんこの問題はずっと昔からあって、みんなその不本意さや理不尽さを受け入れていました。まるで、その理不尽さを受け入れること、我慢することが社会人に求められる能力であるかのように、みんながそういう風に考えてきたような気さえします。

 

この問題のイヤらしいところは、不利益を受ける新卒若人の発言権が極めて弱いところに根っこがあると思います。入社後、少なくても数年は居続ける組織内で、入った当初から「アレがダメだ、こうすべきだ」と発言できる新人なんて殆どいません。このガチャ問題は会社のやり方に物申す類いのものなので声をあげることは難しいでしょう。

 

そして最初はヤル気に満ちている若人も段々と社会や会社がどのようなものか見えてくると、その頃には配属ガチャの問題なんて忘れてしまうんですね。忘れるというより、クチを出せる立場ではないことを理解したり、クチを出さない方が得、ということに気づきます。特に大きい企業では。そして晴れてガチャ問題はそのまま会社に残り続けると。

 

現代はSNS時代です。若人が「上司ガチャだ、配属ガチャだ、日本史ね」と、影で、ネットで声をあげています。今までは見えなかった、見て見ぬふりをしてこれた問題が可視化されている状況です。

 

配属ガチャ、上司ガチャという単語が存在する限り、それは人事部門の敗北だと私は考えています。FintechとかEdtechとかHRtechとか、そういうのをまとめてX-Techとよばれて数年前からメディアで取りざたされていますよね。あれって多くのユーザが不満に思っていたり、技術的に発展できてない業界で発生してるんですよ。ユーザフレンドリーだったり、十分に技術が進んでいる業界ではX-Techって出てこないんです。〇〇techという言葉が生まれてしまう業界ってのは基本的に問題があるところだけです。

 

Fintechなんかは元々業界に規制が多いという構造的な原因もあります。しかし人事などのHR分野は成長を阻害するような壁はありません。より質の高い業務をやろうと思えばできる業務環境です。それでもHRtechという言葉が生まれてしまう背景には、人事部門の仕事に問題があると突きつけられた格好になっているというわけです。これを受け入れなければならない。

 

 

そもそも何が当たりかは人によって変わる

さて、実際に配属ガチャ・上司ガチャで当たりを引き当てるためにどうしたらいいかを考える前に、まずは「そもそも当たりは何なんだぜ?」と考えることも大切です。

 

新卒新人のみなさんが、SNS上で「上司ガチャ、マジでクソだわぁ」とつぶやきたいだけなら勝手にやればいいです。本当に自分が望む配属や上司を得たいなら、まずは自分にとっての当たりを考えてみるのがいい。あまり深く考える必要もないですけど、自分は何を優先するのかを考えておくと、迷ったときにロジカルな決断が下せると思います。

 

たとえば、『ビジネスパーソンとして成長できる厳しい職場』を望むのか、『技術者としての成長』を第一に考えるのか、社会・会社が怖いから『雰囲気の良い部署』を選ぶのか、何を優先するかは人によって違います。

 

他の業界のことは知りませんけど、SIerでは新人のときの配属部署ってのは個人の技術指向に影響を与えたり、意外と長く影響が続くものです。「技術者としての成長」を最優先に考えている人が、技術的に面白くなさそうな部署のメッチャ良い人に感化されてその部署に入ると後悔することになるかもしれません。自分の考えの軸を持つことはとても重要です。

 

 

配属の仕組みを理解しよう

配属の仕組み・ルールは会社によって異なります。これを熟知したところで、地雷部署や地雷上司を避けられるかって言ったらちょっと微妙。でもちゃんと理解しないと、同期生との間で不利になりますから、その会社の配属ルールはきちんと理解しておきましょう。

 

私が勤めていたSIerでは、だいたいこのような仕組みで新人配属が行われていました。

①部門ごとの特徴をまとめた簡単な資料が作成、配布される

②新入社員はその資料をみて、部門を決める

③自部門を希望している社員のリストが各部署に配布される

④部署のエライ人によるドラフト会議で配属が決まる

 

実はこの仕組みは年度ごとに少しずつ変わってきています。と言っても特定の傾向があるわけでもなく、ある年は新入社員が部署レベルで希望を出せたり、ある年は人事部門が盛大に取り仕切って決めたり、そんな感じでけっこう年によって違う印象があります。まぁ偉い人の鶴の一声で変わったりしてんだろうなぁと推測しています。そんなしょっちゅう仕組みが変わるほど、安定して成熟した配属決定方法が見つかっていないという話もありますけど。

 

新入社員からしたら、年によって配属の仕組みが変わるってことはそんなに大した話ではありません。毎年配属ガチャを回せるわけでもないですし。でも毎年変わらなかったこともありました。新入社員のリストが各部署のエライ人の手元に回ってくるんです。そのリストには氏名や顔写真から卒業大学、専攻科目、新入社員研修中の成績、人事部門からの所見、などが載っています。

 

部署の偉い人はそれを見て、「おっ、こいつ良い大学出てんじゃん。しかも情報工学専攻してるし。あれ、でも人事所見には協調性が低いってあるなぁ。やだなぁ、こういうやつ」とかって考えています。私はぺーぺーの社員でしたが、新入社員の御守をすることが多かったので、特別に見せてもらっていました。

 

部署によって色々考え方に違いはあると思いますが、私が見ていた限りでは、研修中の成績や人事所見を重く見る管理職の人が多かった印象です。いまの特に歴史のある大会社の管理職って高卒の叩き上げのような人がいます。そういう人は特に卒業した大学なんて気にしてなかったですね。

 

新入社員が入社して最初にやることは、新人研修なわけです。同世代の仲間が集まってワイワイ楽しくやる研修ではあるんですが、もちろん給料は出るので仕事なんですね。だから研修中の成績が悪いってのは、一番印象が良くなかったです。仕事に必要な知識の習得に本気になれないタイプの人間なんじゃないかと考えてしまう。育てるのに手がかかる未来が見えてしまうんです。

 

また人事所見も重要です。積極性のあるタイプだとか、協調性の有無だとか、研修中の態度であるとか、面倒見のいいタイプなのか、分かんないと投げだしちゃうタイプなのか、そんなことが書いてありました。これも見る人によると思いますが、協調性が無い奴と態度が悪い奴は、めちゃくちゃ敬遠されていました。未来のトラブルの種は持ちたくないですからね。

 

配属の仕組みがどうなっていようと、新入社員研修中は良い成績を取る、意見を言ったり質問をしたり積極的に取り組む、困ってる同期を助ける、とにかく大人に良い印象を持ってもらえる青年のフリをしましょう。それが攻略の鍵。

 

仮に新入社員が配属部署の希望を出せなくても、成績が良かったり、良い印象を持ってもらえていると、ヤバい部署へ配属される可能性は減少すると思います。これは絶対に覚えておいた方がいい。実践した方がいいことです。

 

配属ガチャ-当たり部署とハズレ部署の見分け方 

前述のように配属ガチャの当たりとハズレは人によって変わってきます。しかし、会社の中には、とりあえずヤバい部署というのもあるわけです。そういう「とりあえずヤバい」部署を避ける見分け方の一例を示したいと思います。

 

業績数字

部署ごとに、あるいは会社全体との比較が可能な場合は、業績数字を見ておくことが有効です。これ、新人は見落としがちなんじゃないかと思います。基本的に潤っている部署は、穏やかな雰囲気が流れます。また事業を拡大していくので、比較的昇進も早い。毎年新人が入ってくるので、後輩もすぐ入ってくる。すると、新人の受け入れ体制、教育体制が確立されます。プラスの循環が回っている感じ。

反対に稼げていない部署はそもそも管理職のポストを増やす必要がありません。新人を入れても、教育できないし、業績も悪化するし、段々雰囲気が悪くなる。

「この技術をやりたい!」とか「この部署に入りたい!」とかピンと来るものがない人は、とりあえず業績の良い部署に入ることをオススメします。

 

序列を見極める

どこでも使えるって話ではないんですが、私が勤めていたSIerでは様々なことが、部署ごとの序列で順番に並べられていました。たとえばWebサイトの部門紹介ページや組織図の中での掲載順、新人向けの部門紹介の順番、こういうところに地味に序列が表れていたりします。基本的に上位に掲載される部署は、業績がよかったり、管掌役員の力が強かったりして、扱いがいいです。「いやいや、そんな序列つけて上だ下だってガキみたいな」と思う方もいるでしょう。私もそう思いますが、年を食っていくとそうなるのか、組織に長い間いるとそうなるのか、理由はわかりませんが、実際にそうなっていました。

業績数字と同様に特に行きたいところがなかったら、上位序列の部署を狙うのもオススメ。

 

雰囲気

会社による部分が大きいですが、部門紹介などで先輩の説明が聞けたり、話をする機会が設けられることがあります。ここからも分かることがあります。まずこの手のお話の抽象的な部分はあまり信用しない方が良いです。「あくまで個人の感想です」という注意書きがあるものとして話を受け止めておきましょう。

「雰囲気が良いからあの部署を希望する」ってのはオススメしません。受入れサイドのことを考えてみてください。こっちからしたってヤバい奴は来てほしくないのです。5くらい言ったら7くらいのクォリティで仕事をやってくれる後輩に来てほしいんです。だから出来るだけ優秀な新人にきてほしい。どうするか?なるべく柔和で、分かりやすく業務を説明できる人間を用意し、ウソを言わない範囲で「なんかあの部署良さそう」と新人諸君に思わせる。自部署を希望する人が多くいれば、ヤバい奴を弾き落とすことが可能です。

だから就活の説明会と同じでみんな良い事ばっかり言います。ポジティブな表現を使っているところは参考程度に受けておきましょう。私はむしろネガティブなことをちゃんと表現できる部署は信用できると思います。たとえば若手社員が「ウチの部長さぁ、ちょっと頭固いんだよね」と発言したら、それはそういう発言をして回り回って本人に聞かれても大丈夫な関係ができていると判断できます。

パッと見の雰囲気で決めてはだめ。ネガティブなことをキチンと言える部署はある程度発言を信頼しても、、、いいかも。

 

取り扱っている製品と技術

会社の主力製品・主力事業をやっている部署は選択として悪くないと思います。言ってしまえば花形部署ですかね。稼げているから扱いもいいし、結果も出やすいから良い環境といえるでしょう。ただ、主力製品がいつまでも主力であるとは限らない。いずれ古くなり陳腐化するときが来ます。しかし、それまでの間に学びの機会も多いからトータルで見ればオススメですね。

時代遅れの製品にだけは注意しましょう。いまは主力だけど、どう考えても需要が無くなっていくという製品を扱っている部署はちょっと危ない。明らかに需要が減少していても会社からは稼げと言われるわけです。担当からしたら、そんな無茶な、と思う命令を受けるんです。それに下手こくと最終的にババを引かされる可能性すらあります。新規のお客さんはいなくて、既存のお客さんの問い合わせに対応するだけの仕事なんかをやっていく立場になるかもしれません。エンジニアって何だかんだモノを作るという仕事に携わっていないと技術力が上がっていきません。消えゆく製品の介護という日の目を見ない仕事をやりながら、実力が伸びるわけでもない。絶対に避けたいところです。

 

ニッチ産業・ニッチ技術に気を付けろ

ニッチな市場というのがあります。需要はあるんだけど、求めている人が多くない、そんな市場です。これは気を付けた方が良い。「我々は〇〇の分野でNo.1だ」といかにも力強いアピールをしたりしますけど、実態はものすごく狭い市場で幅を利かせているだけってケースがあります。そこで使われている技術が大好きってんなら、そこを志望するのも悪くないです。しかし「よくわからないけど、No.1だからすげぇんだ。」と心を躍らせてはいけない。

なぜその市場がニッチなのかを考えましょう。大きなビジネスに繋がらない領域だからです。だから大手が入ってこない。汎用的な技術や、ビジネスパーソンとしての能力を高めてくれる場所だったらいいんですが、ニッチな市場にはニッチな技術がつきもの。大して需要もない特殊技術の専門家になったら、もう離れられない。後になって「ワイ、AIを研究する部署に異動したい」と希望しても後の祭り。「お前はあのニッチな市場でNo.1のチームの主力メンバーなんだから、異動させることは出来ぬ」という話になる。

 

技術のレイヤーで考える

「キミはインフラとアプリどっちをやりたい?」こんなことを聞かれたり、もしかしたら選ばないといけないかもしれない。インフラ屋ってのはサーバやネットワークの設定をする仕事、アプリはプログラムを作る仕事。会社によって言葉や区分の仕方が変わりますが、だいたいこういう分け方がされます。

で、部門ごとにインフラの仕事をやる部署とか、こっちはアプリをやる部署みたいに分かれて組織されている会社が多いと思います。だから「部署の希望を出す=技術者としてのキャリアパスを決める」という面が、実はあるんです。私が勤めていた会社では、若手が「どうも何か違う」と思ったら部署異動の相談をする窓口がありました。しかし利用している社員はほとんどいなかったです。部署異動を求める=今の部署を否定することに繋がるので、気軽に利用できるものではなかったのです。わざわざ社内に敵を作りたくないですからね、裏切り者と後ろ指さされるようなことはできないと考えている人が多かったのでしょう。だから、最初の配属時にこれを決めるのって、かなり重要なことなんです。

「俺はアプリ屋だ、あたいはサーバ屋」と決めているものがあるなら、その道を歩むがよろしい。いやぁよくわからんよ、という人は会社の先輩だったり、知り合いだったりで詳しい人に相談するのがよきです。別にエイヤッと決めてもどっちかが1年後に無くなるってわけでもないのでいいっちゃいいんですけどね。

私は新卒でSIerに入ってからこんなこと考えずにサーバ屋の道を歩んでいました。感想は、うん、まぁけっこう面白かったですね。ただ仮にもう一回新卒でSIerに入社することになったら、アプリ屋さんになる道を選びます。隣の芝が青く見えるだけなのかもしれないですが、アプリの方がいいんじゃないかなぁと思っています。

理由は、インフラでやる仕事って直接価値を生まない仕事なんです。ものすごく素晴らしいインフラ設計をして作られたシステムと、テキトーに設計されたシステムがあるとします。この両システムにおいてユーザが感じる価値ってどこにあるか。インフラ上で動くアプリに価値があるんです。たとえばYahooとGoogle。両サービスを比較してどっちがインフラとして素晴らしいか、ユーザである我々にはそれが見えません。我々がそれぞれのサイトで得られる価値は、ヤフオクやGoogleカレンダーというアプリケーションから生まれています。もちろんインフラ設計が素晴らしければ、アプリの開発も効率的になるので、波及効果は出てくるでしょう。けど、ユーザが感じる価値はやっぱりアプリから発生するんです。私は直接的に価値を作り出したいと考える方が強いので、アプリに行きたかったなと今でも思います。

 

「何屋さんになりたいか」これはキチンと考えておいた方がいいです。

 

上司ガチャ

これはですね、ぶっちゃけどうしようもない。私は以前↓のエントリを書きました。 

このエントリでは、『新入社員ってのは緊張の連続だから、受け入れ側で強く配慮してあげないといけないんだ』的なことを書きました。

 

この考えは変わっていません。ただ本エントリは新入社員向けに書いていますので、新入社員の方が「受け入れ側が配慮すべきことである」という態度でいちゃ、それはそれでおかしなことになる。

 

新入社員からしたら、社会や会社ってのは、よくわからない存在だと思います。「社会は厳しいぞ」とうそぶくオッサンや「社会の荒波」と表現するメディアなど、脅しつけるような話が多いですよね。でも、そんなよくわからないところにいる人間も、同じ人間なんだと考えることが大切です。

 

新入社員は、つい数か月前まで学校やサークル活動のなかで最上級生として先輩面をしていたはずです。その時のことを普通に考えてみればいいんです。後輩に言われて腹が立ったこと、やられて絶許と思ったこと、そういうのはしないようにしましょう。別におだてたりヨイショする必要はないです。普通に先輩として敬ってあげればいいんです。逆に言うと新入社員ができることは、それくらいです。

 

ちゃんと敬ってやってんのに、上司からの扱いがヤバい、となったらもうそれはしょうがない。残念、諦めてください。「これ逸脱してんだろ」と思ったら、相談すべきところに迷いなく相談する。上司の上司でもいいし、社内の窓口でもいいし、勇気はいるけど社外の人に相談するのも一つの手。それなりの規模のSIerだったら、今時はまともに取り合ってくれると思います。

 

極端な話ですが、どう頑張っても融和政策がうまくいかないと思ったら、上司が嫌がることを仄めかしましょう。たとえば、「あの人が怖くて会社に行きたくありません」とか、「労働組合に相談しようと思っているんですが、」とか、「ハラスメント窓口への相談はどうしたらいいか」とか、そういう感じで。上司も、上司の上司も、みんなサラリーマンです。新入社員を虐めて得られる快感なんて大したものじゃありません。勤め人としての自分の評価の方がはるかに重要です。

 

「そこまで対決姿勢を取るほどじゃないけど、上司が気に喰わねーんだよなー、ハズレなんだよなー、チェンジしてーんだよなー」ってときは、いっぱい勉強するのが遠いようで近い道。社内で「こういう技術や知識を持ってる社員はいないか」って話が出た時に手を挙げられるようにしておく。また部署やチームの異動を申し出るときに、「希望している部署のあの技術に興味がある。プライベートでこんな勉強をして、こんなものを作ったほどだ」と言えば、誰も傷つかないし怒らない。遺恨も残らずにスマートにハズレモンスターの呪縛から離れることができる。

 

上司ガチャは、ハズレを引かないようにするために、出来ることがあんまりないので、お守りでも買って祈ってください。

 

おわり