こんちわ。
2018/01/09のニュースで金融庁の監視強化の記事があったので、情報整理と感想を書いていきます。
もくじ
ニュースの概要
金融庁は金融機関のIT戦略に対する監視を強化する。
フィンテックの拡大を受けて、社内の管理体制や業務効率化への反映などを点検して健全な普及につなげる考え。
2018年春をめどに点検項目を作り、7月からの金融機関への検査に反映する。
点検項目は経営陣のITの重要性理解度、システム管理体制の整備。
モニタリング対象はITガバナンス、システムの安定稼働、セキュリティ、仮想通貨への取り組み。
金融庁は業態ごとの規制を改め、送金・決済・融資などの機能ごとに法律を再編する方針。
金融検査マニュアル
金融庁の監視と言えば「金融検査マニュアル」です。
私は勤めている会社でセキュリティ製品の販売とそれに付随するSI事業をやることがあります。提案活動に技術者として同行する時に聞いたのですが、金融検査マニュアルを引き合いに出してアピールする営業担当者もいます。
このエントリのニュースは金融検査マニュアルのことかなぁと思い、金融庁の発表資料など漁ってみましたところ、金融検査マニュアルは廃止となるようです。
以下のような点が懸念されるに至っており、現時点では実際の検査には用いられていない。
・・・・
以上に鑑み、検査マニュアルは、別表も含め、廃止することとする。
金融検査・監督の考え方と進め方
http://www.fsa.go.jp/news/29/wp/supervisory_approaches.pdf
しかも現時点では実際の検査に用いられていない、とまで書いてあった。これは知らなかった。平成30年度いっぱいを目途に廃止とするらしい。
「金融検査マニュアル+対応」でググると製品やソリューションの宣伝ページがあるので、金融系システムの顧客を狙うIT業界にも変化が出てくるでしょう。
金融庁の資料を読むと、別にマニュアルが古くなって使い物にならなくなったという訳ではないみたいです。今までは重箱の隅を突くような検査だったり、マニュアルに記載されている内容に対応するだけの最低基準をクリアすることが目的になっていました。これを是正していきましょうと。
個人的な意見を書くと、
「てめーらが重箱の隅を突くから最低基準クリアに力を入れてんだよ!」
というのが少しお下品に表現した本音ですわ。私は金融屋ではないですが、管轄するお役所のお役所仕事にはだいぶやられてきたので、役所は敵とみなしています。
銀行の人員削減
このエントリのニュースからまず頭をよぎったのは昨年発表された銀行の人員削減のニュース。このあたり。
メガバンク3行が大リストラ。銀行業界は「構造不況業種」になってしまった
みずほが19,000人、UFJが9,500人、三井住友が4,000人の人員削減を発表したやつです。システム屋の私は銀行業の実態なんかは分かりませんが、マイナス金利や市場の飽和、金余りあたりが原因なのでしょう。
合わせて店舗数も縮小させていくようです。せっかくなので国内にどのくらい銀行の店舗があるか調べてみました。全銀協のデータです。
みずほ | UFJ | 三井住友 | りそな | |
平成24年 | 423 | 672 | 505 | 273 |
平成25年 | 462 | 681 | 505 | 273 |
平成26年 | 467 | 685 | 507 | 273 |
平成27年 | 472 | 685 | 506 | 276 |
平成28年 | 471 | 685 | 506 | 275 |
今までおかしいと思ったことはなかったですが、銀行の店舗って一般個人ユーザからするとほとんど利用しないのに、ものすごく良い立地に立てられていることが多いです。(あ、東京の話です。)
私の住んでいる場所ではJR某線が走っていて、1駅は歩きで15分くらい、電車で2,3分の距離です。それにも関わらず各駅に銀行の支店がありますからね。そんないらねーだろ!店舗半分にして手数料も半分にしろ、と言いたいですが各行出店しているから自分とこだけ抜けられないジレンマなんかもあるのでしょう。
人員削減は商品や業務の整理・単純化で何とかなるかもしれませんが、店舗はどうするんでしょうか。ちょっとこれはどう対応していくか興味があります。
まとめ
銀行
・マイナス金利や今までの銀行業務では経営が辛くなってきた
・人員と店舗を削減する
金融庁
・検査マニュアルはもう使わないけど、検査に合格する最低基準レベルじゃ許さないよ
・2018年度から監視強化するよ。仮想通貨とかもモニターするし、法律改正もするよ☆
内容らしい内容はこれだけですね。
金融業界は不安と忙しさが入り混じる1年間となるのではないでしょうか。
所感
今回のニュースをユーザ目線で見ると、今までよりかはマシな企業になると期待できるのでポジティブに受け取っています。
SIerの人という目線で見ても、新金融検査マニュアル対応という案件が発生しそうなので、ポジティブに受け取れます。
SE目線で見ると、嫌な予感しかしません。幸いなことに私は現在金融系システムにドップリ浸かる仕事をしていないので巻き込まれることはなさそうです。ただ金融庁が明確に「これやってればOK」という指針を出さなそうなので、金融系SEはゴールの見えないマラソンをやらされるのではないかと想像します。
多くの一般ピーポーと同様に、私も資産の大半を銀行に預けています。ここ数年Fintechの盛り上がりをみて再認識しましたが、やっぱり従来の金融屋は技術面で遅れている印象があります。遅れているというか、うーん、他の業界と比較して進んでいない印象でしょうか。
技術的には進化しているでしょうし様々なサービスが開始され、アンテナをきちんと張っていればいくつか恩恵を得られるということもあるのでしょう。ただそれが根付いていないように見えます。
私の周りはIT業界で働いている人が多く、また年代も20~30代が中心でITリテラシーが高い層だと思います。しかしネット口座を持っている人はほんの一部の人だけです。私は「必要だと思う状況が思いつかない」からネット口座を持ちません。
スティーブ・ジョブズの言を借りると、
「人は形にしてみせてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」
ということなんじゃないでしょうか。
ユーザが使ってみたくなるサービスとか、欲しがるモノを作り出せていない上に、金融屋は細かい文字がビッシリ書いてある契約書にハンコを押させたり複雑な金融商品を扱っていたりもします。
全然ユーザフレンドリーじゃないんですよね。
世の中を見ると、Appleの製品を愛している人がいたり、国内だとSONYなんかも多くのファンがいます。アパレル、食品、小売り、ホテルなんかも特定の企業やブランドにファンがいて、高いお金を払ってでも「あの会社のサービスを受けたい」と考える人がいます。
金融業はどうか?
ー 〇〇銀行のファンです。
ー 保険は△△保険以外考えられない
ー 資産を任せられるのは□□証券だけ
こういうの無いですよね。証券会社は殆ど利用したことないので想像で書いていますが大きく外してはいないと思います。
「使ってみたいと心から思う金融サービス」というのが今後のFintechの領域では重要になるのではないかと思いました。まったく具体的に想像できないですけど。
おわりに
ここまで書いてきましたが、本当は
「監視強化も仮想通貨も好きにやってくれ。但しユーザの利益になるようにしてくれよ」
と書きたかっただけなんです。ダラダラとまとまりのないエントリになってしまいました。金融検査マニュアル廃止と銀行の店舗数を知れたことは有益でした。
おわり。