こんちわ。
2018/01/15のニュースで行政手続きをアプリで一括で行えるようにするというものがありました。これについて考えてみます。
目次
ニュースの概要
政府は2018年度にも暮らしに関わる行政サービスの手続きをスマホで可能にする。
転居の場合は自治体窓口で転入届を提出しスマホで本人認証すれば民間のアプリを通じて電気やガス事業者への住所変更も一度にできる。
企業に対してマイナンバーでの個人認証を認める仕組みとなる。
対象の行政手続きは転居、介護、死亡・相続の3つ。
スマホでマイナンバーカードの2次元バーコードを読み取るとアプリが行政システムに接続して本人からの申請と確認する。
6月までに転居に関する計画をつくる。介護は18年度、死亡・相続は19年度からアプリ運用をめざす。
ようは国・自治体が持つ公的なデータを使って、ワンストップで行政や社会インフラ企業への利用手続きをできるようにしますという話です。転入届の場合は自治体にも、電気ガス水道の各社にも同じようなデータを提出するわけですから、一元化しましょうと。
なぜ ”民間の” アプリが仲介する?
このニュースの中でここだけは理解できなかったです。
全体の流れは、以下です。
①個人が行政機関に転入届を提出
②個人が民間企業のアプリで個人認証操作
③アプリが行政機関に対して認証取得
④アプリが電気ガス水道や健康保険などの各管轄に情報を流す
何で民間のアプリを仲介させるんでしょうか?転入届は出さないといけないみたいなので、そこで意思表明すれば全部裏で処理が進む方が利便性が高いと思います。あとはバッチでデータ流すでもいいですし、社会インフラを支える企業や各お役所向けにAPIでも公開すればいいのではないかと。
何でアプリなの?
これは本人確認のためにマイナンバーカードの2次元バーコードを読み取ることから、ネイティブアプリである必要性があるということでしょうかね。ちょっと微妙な感じ。
マイナンバー/マイナンバーカードって何かイマイチ感があるんですよね。国民にマイナンバーを付与することでどんな便利で素敵な未来が到来するのかっていうUX的な考えに基づく広報が弱いからですかね。総背番号制の議論から、国による「管理」の面にみんなの視線が行っちゃっている気がしています。同じくらいどう「利用」するかが大事なのだと思います。
指紋や口座情報なんかは選択制であるべきだと思いますが、全体としてはマイナンバーで一元管理するというのは合理的だと思います。素晴らしい未来をアピールして国民の期待を超えるサービスを提供してほしいと思っています。
マイナポータル
マイナンバーを使った認証で本人確認をするんなら、本家マイナンバーシステムであるマイナポータルをなぜ使わないんでしょうか。認証機能もあるわけだから、全てをマイナポータルから申請できるようにすればいいじゃない。
関連ニュースを見てみると、
転居手続き、ネットで一括=行政電子化へ実行計画―政府 (時事通信) - Yahoo!ニュース
こちらには、
住所変更などの届け出がなくても問題のない手続きを洗い出し、不要とするよう各府省に求めた。残る手続きも原則オンライン化し、「マイナンバー」も活用して他の行政機関や民間事業者のシステムと連動させることを提案している。
とある。「マイナンバーを活用して・・・提案している」、じゃなくて最初からマイナンバーと連携することが前提になっているべきじゃないのかと思います。実現に向けた色々な壁があるんだとは思います。ただそれは技術的な壁ではないので、利用者の利便性や利益を最大化する仕組みになっていてほしいなと思います。
ちなみにマイナポータルは、PCで使う場合はマイナンバーカードを読むこむためのICカードリーダーが必要、スマホで使う場合は、Android6.0以降の環境が必要みたいです。iOSについては案内が無いので使えないんですかね。Androidにしたって6.0以降のOSシェアはAndroidユーザの70%程度のようだし、何しろ国内でキャリアと契約するとOSサポートは持って2年程度です。永遠にAndroid6.0以降の環境でOKというわけではないでしょうから、ユーザ側もアクセスのためのハードを更新していかなければならない。
つまり政府としては数年ごとに高額なスマホの買い替えをしていかないとマイナポータルを使わせない方針とする、と穿った解釈もできてしまう。
あとおまけにAndroidの対応機種一覧がこちら。これ少なくないか。。。
https://www.jpki.go.jp/prepare/pdf/nfclist.pdf
この辺がイマイチなんだよなぁ、と思うんですが大きな変化の過程でスピードを優先して不都合が発生することはままあるので、しょうがないと言えばしょうがない気もします。
マイナポータルが本当に国民に必要とされるようになった時に、実態としてどのくらいの人が使えるのか。使うためにスマホの買い替えはどのくらいの頻度で必要になるのか。っていうかキャリアはもっとちゃんとAndroidのバージョンアップ対応しろよ、とかって議論が進んでいくんでしょう。
最後に所感
文句ばっかり垂れてますが、行政手続きや社会インフラの利用手続きの電子化・一元化は利用者の目線から見ると非常に有益な取り組みだと思います。あっちこっちに申請書出さないといけないのはやっぱり面倒ですからね。
今はネットで調べれば「引越の手続きはこれだ」ってまとめページが簡単に探せますが、昔はどうしていたんだろう、とふと疑問に思いました。まぁザルだったんでしょうね。
最後にもう一つこれだけは書きたい。
行政に関連した電子化は主に仕組みのハード面に手を入れた形なんだと思います。システムをつなげたり一元化したり、自動化したりですね。そうすると次はソフト面が気になってきます。人が浮くわけですから一般企業勤めの考えで言うと人員整理が必要ということです。ちゃんとやってくれよと。
おわり。