こんちわ。
2017年も残すところ僅かとなりました。ふと、自分は2017年に何が出来て何が出来なかったかと考えてみました。個人的な1年間の話は別のエントリで整理するとして、このエントリではSIerのSEが業務で実施している目標設定について書いてみます。どーぞよろしく。
もくじ
※SIerのSEが毎年やらされる目標設定制度の具体的な記載例は別エントリにまとめましたので、よろしければこちらもどうぞ。
目標設定の意義
最初は目標設定の一般的な意義についてです。これは私もあらためてインターネッツで調べてみましたが大きく以下二点の意義があるようです。
- ゴールを明確にする
- ゴールに至るためのペースメーカーとする
1つ目は、どこに行くかが定まっていないと、どこにも行けないじゃないのという話です。2つ目はゴールに到達するまでのチェックポイントを定めるというお話。
つまりは特定の期間後に到達する場所を決めて、その地点に到達するために、いつまでにどこに行っていないといけないかを決める作業ということになります。
私が勤めるSIerにおける社員の目標設定
私は某グループ会社のSIerに勤めておりまして、会社規模としては業界の中堅くらいの会社です。世の中には従業員に目標設定をさせる会社も、させない会社もあると思いますが、私が勤めている会社は目標設定を行うことがルール化されています(やらないと超怒られます)。
業界に長い人だったら誰でも知っている超有名な会社の(多分クソ高い)システムを導入しているくらいに力をいれています。毎年4月になると社員が全員1年間の目標をシステムに登録します。登録した内容を元に上司と面談を行い、お互いに合意を取りながら修正し1年間の目標を定めます。で、10月の中間評価が冬のボーナスに反映され、年度末の最終評価が次の夏のボーナスに反映される流れになっています。(否、そういう体裁となっております)
社員がみんな自分の目標を掲げ、その達成水準が評価につながる。なんと健全でホワイトな会社なんだろうか。素晴らしいですね!
って思うでしょ!
けど実態は違うんですよねー
会社の目標設定ルールは機能不全
会社の中で私が見えている範囲は極々限られた範囲になりますが、この目標設定制度は機能していません。特に役職の無い一般社員においては顕著で、私の知っている同僚で真面目に目標設定をしている人はいません。理由はいくつかありますが、大きくは以下の理由になります。
結局のところ殆ど評価に反映されない
1つ目は「結局は評価に反映されない」ことです。私が勤めている会社では、賞与査定は組織の業績とそれに対する個人の貢献度、そして目標達成度で評価されることになっています。しかし現実的には部門の業績数字が最も大きな柱として存在していて、それに対する貢献度を管理職がその人のインスピレーションで決める感じになっています。目標達成度は都合に合わせて使う程度の指標になっています。
「今年頑張ってくれたけどボーナスに上積みするほどの結果を部門で出せてないんだよなぁ、でも頑張りは続けてほしいからプラス査定にしたいし、、、目標達成が出来ていることを理由に高評価にしてみるかなぁ」
という感じですね。平社員を課長が評価して、その評価内容は部長以上が承認する流れなので、増やすにしろ減らすにしろ何かしらの根拠は必要で、そのために目標設定が使われる程度なんです。
目標を立てる4月時点では年間の業務内容が見通せない
2つ目は「将来の業務が見通せない」ことです。私の周りでもよくあるんですが、「来週からあのプロジェクトに入ってもらう」という話ですね。特にお客さんが費用についてゴネてきた場合に多いんですが、なかなかプロジェクトを始められずに宙ぶらりんの状態が続くと、ヒラのSEをそのプロジェクトに向けて待たせておくわけには行かないので、人を必要とするプロジェクトにエイヤっと投入してしまうことがあるんです。
またヒラのSEを特定の製品の担当者にした場合など、製品が売れない期間は売上が無いため、一時的に全然別の技術を使うプロジェクトに投入されることもあります。
SIerではそういうことが普通に起こります。
ヒラ「ここのところLAMP環境の結構シビアなインフラ構築案件が増えているので、今年はLAMPについてホニャララできるようになることを目標にします。」
課長「良い目標だ。採用っ!」
~~~1か月後~~~
課長「案件が始まらないから、君来週からWindowsサーバの保守案件に行ってもらうよ。ちゃんとWindowsサーバのノウハウを吸収してきてね。もう決まったことだから何言っても覆ることは無いけど何かある?」
ヒラ「あ、、、いえ、はい。行ってきます。」
という感じです。ヒラ社員も管理職もこういうことが普通に起こることを認識しているので、もう何とも思わないんですよ。会社が導入したルールに違反しないようにシステムに目標らしいものを入力しておく新年度の儀式に成り下がっているという状況です。目標管理ごっこ。
個人的な目標に思う事
会社の中で立てる目標は業務なのでやれと言われればやりますが、個人の目標についてはどうだろうかと考えてみました。世間的には目標を立てることは善い事であり、絶賛奨励中という扱いをされますが、実際のところどうなんでしょうか。
私個人の考えを書くと、目標を立てることにあまり意味は無いのではと思っています。
誤解を生む表現を使っていますが、正直なところやっぱり目標を立てる意義が見出せません。というのも私は移り気な性格をしていると言いますか、興味の対象範囲が広いため、1つのことを勉強していても、そこから派生して別のことに興味の対象が移ることがよくあります。また目標に向かって進んでいる中で本質的な部分が見えてくると、目標としている場所に重要な価値がないことに気付いたりします。そうなるともう時間をかけて考えた目標のKPIやKGIが無意味になりますし、目標達成に向けて考えたスケジュールも無意味なものになります。
私はこう思っているので、大まかな方向性と達成時期だけ決めて、
あとは走りながら考える程度で十分だと考えています。
いやいや、そうしたら定量的に個人の頑張りを評価ができないやん?と思う人もいるでしょう。それはその通りなんですが、目標設定の制度ってのは評価のためにあるものではなくて、個人やチームがどうやって成長していくか、どれだけ成長していくかを可視化するためのものなんだと思うんです。
評価のためのツールとして使うんならSIerの世界で年単位の計画を立てさせるのは無意味だと感じます。何かその時間軸がビシっとはまる仕組みになっていないのが問題なのかもしれません。どうしても”目標設定ごっこ”に見えてしまいます。
まとめ
会社によって違うと思いますが、個人の目標設定は儀式化されがちですので、どれくらい真面目に取り組むべきか肌で感じて最少の労力で対応するに限ると思います。目標を設定することが素晴らしいことだと説く書籍や、そういう仕事をやっている人たち(コンサル)もいっぱいいますが、私にはやっぱりその重要性がいまいち理解できません。全力で走り続けて、たまに自分が走ってきた道とこれから進む方向を確認すればそれで十分ではないかと。(別に命がけの登山をしているわけではないですし)
おわり